Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ふじについて
富士に就いて
Lesen Sie 富士に就いて (ふじについて) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.088 Zeichen · 3 Bildschirme
近景の秋の山々が両袖からせまって、その奥に湖水、そうして、蒼空に富士の秀峰、この風景の切りかたには、何か仕様のない恥かしさがありはしないか。これでは、まるで、風呂屋のペンキ画である。芝居の書きわりである。あまりにも註文とおりである。富士があって、その下に白く湖、なにが天下第一だ、と言いたくなる。巧すぎた落ちがある。完成され切ったいやらしさ。そう感ずるのも、これも、私の若さのせいであろうか。
所謂「天下第一」の風景にはつねに驚きが伴わなければならぬ。私は、その意味で、華厳の滝を推す。「華厳」とは、よくつけた、と思った。いたずらに、烈しさ、強さを求めているのでは、無い。私は、東北の生れであるが、咫尺を弁ぜぬ吹雪の荒野を、まさか絶景とは言わぬ。人間に無関心な自然の精神、自然の宗教、そのようなものが、美しい風景にもやはり絶対に必要である、と思っているだけである。
富士を、白扇さかしまなど形容して、まるでお座敷芸にまるめてしまっているのが、不服なのである。富士は、熔岩の山である。あかつきの富士を見るがいい。こぶだらけの山肌が朝日を受けて、あかがね色に光っている。