Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とみおかせんせい

富岡先生

国木田 独歩

Lesen Sie 富岡先生 (とみおかせんせい) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.282 Zeichen · 31 Bildschirme

Aozora Bunko

自分が先生に向て自分の希望を明言した時に梅子は隣室で聞いていたに違いない、もし自分の希望を全く否む心なら自分が帰る時あんなに自分を慰める筈はない……」

「梅子は自分を愛している、少くとも自分が梅子を恋ていることを不快には思っていない」との一念が執念くも細川の心に盤居まっていて彼はどうしてもこれを否むことが出来ない、然し梅子が平常何人に向ても平等に優しく何人に向ても特種の情態を示したことのないだけ、細川は十分この一念を信ずることが出来ぬ。梅子が泣いて見あげた眼の訴うるが如く謝るが如かりしを想起す毎に細川はうっとりと夢見心地になり狂わしきまでに恋しさの情燃えたつのである。恋、惑、そして恥辱、夢にも現にもこの苦悩は彼より離れない。

或時は断然倉蔵に頼んで窃かに文を送り、我情のままを梅子に打明けんかとも思い、夜の二時頃まで眠らないで筆を走らしたことがある、然し彼は思返してその手紙を破って了った。こういう風で十日ばかり経った。或日細川は学校を終えて四時頃、丘の麓を例の如く物思に沈みつつ帰って来ると、倉蔵に出遇った。倉蔵は手に薬罎を持ていた。

「先生! どうしてこの頃は全然お見えになりません?」