Japanische Klassiker mit Furigana
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かんざくらのはなし
寒桜の話
牧野 富太郎
Lesen Sie 寒桜の話 (かんざくらのはなし) von 牧野 富太郎 (まきのとみたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.728 Zeichen · 8 Bildschirme
もし幸いにその樹が枯れずにあって年々花が咲きおるとすれば、上に述べた人の知らない私の心づくしもいくぶん酬いられるわけであるが、今それがどうなっているのやら。
寒ザクラはむろんわが日本のものであれど、しかし今日までまだどこにも野生のものが見つからない。これはことによるとヤマザクラとヒカンザクラ(緋寒桜、学名はプルーヌス・カンパヌラータ(Prunus campanulata, Maxim.)とのあいの子かも知れぬ。またそう思わせる資質を現わしているが、それが果してそうかどうかはにわかに判断がつかない。ヤマザクラと緋カンザクラとはだいぶ花時が食い違っていれど、しかし早く咲いたヤマザクラと遅く咲いた緋カンザクラとがうまい具合に交媒したことが万一あったとしたら、そのときはそのあいの子ができないものでもないと想像する。今日はかの染色体の研究がさかんだから、その方面から検討してみたらあるいはその辺の事情がよく判ることと思う。
私は伊豆の熱海の繁栄策の一つとして、以前から考えていることがある。それをもし熱海の人士が実行するならば、これは確かに熱海の利益である。そしてその花時に際しては、東西南北のお客を熱海に吸い寄せることができると信じて疑わない。