Japanische Klassiker mit Furigana
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かんえいあいあいがさ
寛永相合傘
林 不忘
Lesen Sie 寛永相合傘 (かんえいあいあいがさ) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.530 Zeichen · 15 Bildschirme
甚吾の手がむずと面前の茶碗を掴んだ。一同ちょっと膝を立てた。十郎兵衛は笑いを引っこめた。
「貴公、それを俺に、投げつける気か。」
すると甚吾は真赫になってそれから真青になって、顫える手で茶碗をとって、冷えた茶を飲みほした。それきり俯向いていた。
会の帰り、甚吾左衛門は十郎兵衛にこっそりはたしあいを申し込んだ。
理由は、人なかにて雑言したこと。
期日。今夜四つ半。
場所。高輪光妙寺の墓地。
二人は顔を見合って大笑いした。そしたらさっぱりした。もうすこしもこだわってはいなかった。
三
花時の天気は変りやすい。午後から怪ぶまれていた空から、夕ぐれとともにぽつりと落ちて、四刻には音もなく一面に煙るお江戸の春雨であった。
討合いのいきさつから、もしもわが亡きのちの処理、国おもての妻子の身の振り方なぞを幾通かの書面に細ごまとしたためて、十郎兵衛が部屋で一服しているところへ、刻限でござる、そろそろ出かけようではないかと言って、甚吾左衛門が迎えに来た。応と立ち出ると、そとは雨だ。十郎兵衛、傘がない。
「相合傘と行こう。」
「よかろう。」
というので、長身瘠躯に短身矮躯、ひとしく無骨者の両人、一本の蛇の目を両方から挾んで、片袖ずつ濡らして屋敷を出た。