Japanische Klassiker mit Furigana
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てらさかきちえもんのとうぼう
寺坂吉右衛門の逃亡
直木 三十五
Lesen Sie 寺坂吉右衛門の逃亡 (てらさかきちえもんのとうぼう) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.243 Zeichen · 19 Bildschirme
四十七人って、本当に、四十七人なのかい」
「吉良の邸の玄関に、ちゃんと、討入の口上と名を書いたのとが残っているんだ。江戸じゃあ、もう瓦版が出て、姓名から、石高まで判ってるそうだ。明日になりゃあ、判るだろう。それとも、遅く着く人が、持っているかも知れねえ」
「吉良れ上野、首無しの段、あわわわわ、話をして、うだっちまった。頭がふらふらすらあ」
一人が、勢いよく、湯をはねて飛出した。そして、吉右衛門に
「御免よ」
と、声をかけて
「貴下、瓦版を、お持ちじゃ無いかな」
「持っちゃいませんが、少しは、知っていますよ」
「知ってなさるか。ふうん、大石、何んて方ですえ、大将は?」
「大石内蔵之助良雄――」
「そうそう、そうだ、そうだ。大石内蔵之助良雄ってんだ」
「それから、忠義の下郎は?」
「下郎?――下郎は――寺坂」
「ふうん、寺坂裏之助良雄か。成る程、いい名だ。しっかりした下郎らしい名だ。それから――」
四人が、吉右衛門の周囲へ集ってきた。吉右衛門は、手拭で、顔ばかり拭いていた。
六
吉右衛門は、江戸へ引返してきた。宿でも湯屋でも、髪結床でも、討入の話ばかりであった。瓦版の読売屋は、次々に、新らしく聞いた材料、創り上げた話を刷出して、町中を呼んで歩いていた。