Japanische Klassiker mit Furigana
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てらまち
寺町
岩本 素白
Lesen Sie 寺町 (てらまち) von 岩本 素白 (いわもとそはく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.263 Zeichen · 5 Bildschirme
この高台の通りには、幾つかの横丁があって、それは右へも左へも、平地のままにも折れ曲り、又坂道になって降りても行く。冬過ぎる頃、土塀の崩れからいち早く芽を出して早春を感じさせるにわとこの有る寺があったり、土用の丑の日にへちま加持といふのをする古い真言寺があったり、それらを私は興あることに考えながら静かに杖を曳いて行く。土地に高低のある山の手の町の寺々は、大方山の中腹か、もしくは其の根方に拠って居る。そしてそういう寺の後ろなどの、陰気な湿潤な地域には、極めて細かい家々の建てこんでいるような所もある。今は大方宅地になって居るが、以前は粗末な草花を作っている植木屋がいたり、金魚を作って居る家があったり、昔はこういう辺りから女太夫などが出たのではないかと思うような所もある。今でも芝居や映画の中などには出て来るので、若い人達もその姿だけは知って居るが、ぴしゃんと二つに折ったような編笠を、前のめりに深く冠って少しうつ向いた、帯から裾への恰好が馬鹿に良い。その編笠の紐の緋鹿の子の、くっきりと映えるような美しいのも居たというが、着物はすべて木綿に限ったもので、あの人達ほど木綿の着物をしゃんと着こなして居た者はないと、亡き母の言った言葉を覚えて居る。