Japanische Klassiker mit Furigana
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つきとあざらし
小川未明童話集
小川 未明
Lesen Sie 小川未明童話集 (つきとあざらし) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 9.033 Zeichen · 20 Bildschirme
「しかし海豹さん。秋頃、漁船がこのあたりまで見えましたから、その時人間に捕られたなら、もはや帰りっこはありませんよ。もし、こんど私がよく探して来て見つからなかったら、あきらめなさい。」と、風は言い残して馳けて行きました。
その後で海豹は、悲しそうな声を立てて啼いたのです。
海豹は、毎日風の便りを待っていました。しかし、一度約束をして行った風は、いくら待っても戻っては来なかったのでした。
「あの風はどうしたろう……。」
海豹は、こんどその風のことも気にかけずにはいられませんでした。
後からも後からも、頻りなしに風は吹いていました。けれど同じ風が二たび自分を吹くのを海豹は見ませんでした。
「もしもし、あなたはこれからどちらへお行きになるのですか……。」
と、海豹はこの時、自分の前を過ぎる風に向かって問いかけたのです。
「さあ、どこと言うことはできません。仲間が先へ行く後を、私達はついて行くばかりなのですから……。」と、その風は答えました。
「ずっと先へ行った風に、私は頼んだことがあるのです。その返事を聞きたいと思っているのですが……。」と海豹は、悲しそうに言いました。