Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こむらたんさい

小村淡彩

宮本 百合子

Lesen Sie 小村淡彩 (こむらたんさい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.488 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

「一寸! 早くおいでいい話だよ」

「ほら、いい話だってさ! 早く聞いといでよ」

せきが後ろから押すようにして、二人が座敷に入った。ろくは、いい顔色で坐っている権を見ると、忽ちにやにやした。権はひどく改まっている。いしは、今朝とは大違いの調子で、

「おや、笑ってるね、そんなに嬉しいとは羨しいね」

といきなり揶揄した。

「さあ、お礼を云って貰わなくちゃならない。私が口を利いて、権さんが、すっかり承知でお前を女房にしてくれるとさ。本当に今度こさ正真正銘のおかみさんだよ」

ろくは、薄すり開いていた口のはたを、ぼんやり指で擦りながら、いしから権、権からせきを見廻した。やっと、彼女に合点が行ったらしい。ろくは、眼を小さく小さくすると何ともいえない笑顔になった。せきといしは一時に吹き出した。

「何だよ、その顔は? とろけちゃうさ、本当に。とんだ仲人役を勤めちゃった、ああああ」

「おかみさん……でもよく……まあ……」

「そりゃあ私にかかっちゃね、権さん。どうか末長く可愛がってやって下さいよ」

権は、顔も崩さず、

「へえ」

と云った。

彼は、自分ばかり見ては締りなく笑っているろくに向って云った。