Japanische Klassiker mit Furigana
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こいわいのいっか
小祝の一家
宮本 百合子
Lesen Sie 小祝の一家 (こいわいのいっか) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.193 Zeichen · 31 Bildschirme
アヤがチャブ台を出す。勇は、祖父ちゃんの拡げた新聞の間から落ちた色刷りの広告を、畳へおいて見ている。
道具のない台所で飯の仕度をしている乙女が、
「――祖母ちゃん、ちいと吸って見な」
この頃は眉がつり上ったきりになったような表情で、そこに跼んでいるまきに小皿をさし出した。まきは、音たかくその味噌汁を吸った。
「よかろ……」
乙女と祖母ちゃんとは、味噌汁を薄めてそこへうんと塩を入れたものを皆にのませはじめたのである。
小さいチャブ台にぐるりと膝をつめかけ、ミツ子までものも云わず、非常にはやく、一家は朝飯をくう。
それから出かけるまで時間があっても、勉は殆ど誰とも口をきかなかった。縁ばたに近い方へ腹這いになって本を読んだ。思い出したように祖父ちゃんに向って、
「――おやきの鉄板どうしたかね?」
などと訊くことがあった。
「売って来た」
ぽっきり、貞之助が答える。二人の間で話はそれ以上のびないのであった。
勉が、すり切れた紺外套を着て出かける。貞之助は、そういうときでも決して気軽に立って来て見ようなどとしなかった。手織木綿の羽織の肩を張って坐っているのであった。