Japanische Klassiker mit Furigana
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こいわいのいっか
小祝の一家
宮本 百合子
Lesen Sie 小祝の一家 (こいわいのいっか) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.193 Zeichen · 31 Bildschirme
そして、叮嚀に襷をとって半白の頭を下げる祖母ちゃんに向い、
「御方便なもんですよ、ね、ふだんは出入りもしないどいて、金のいるときだけ役に立つのも、親戚だからさ。へえ、これに一つ、印して下さい」
乙女は、眉をつり上げるばかりか、痩せた両肩までをつり上げたような恰好で、ミツ子をおんぶい、お石の出す銭を握り、十銭の焼酎とあげもの五銭を買いに出た。勉は、この酌婦あがりで、近所でも評判の伯母夫婦とは何年も行き来せずに暮して来たのである。
乙女が、一合ぐらい入りそうな空ビンをおんぶした手にもって出ようとすると、お石が、
「ちょいと、このしとったら! それで買いにいくつもりかい?」
たとえ買うのは一合でも四合入るうつわをもって行かなければ、一合より少くしか売ってよこさない。お石の世渡りは万事この調子なのであった。
ミツ子が、目を皿のようにしてチャブ台の前に釘づけになり、揚げものにさわるぐらい近くへ手をのばして指さし、
「あれ、くいて! かあちゃん、あれ、くいて」
とせびった。お石は、女の子がイーをするときのように下唇を突出し、
「これ、くいて! か?」
と口真似をしながら、悪しみの現れた眼でミツ子を眺め自分ひとり焼酎をのんでは、揚げものを突ついた。