Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme
御前さま、おまえにお目が止まったようだから、早くあちらへご挨拶にお行きよ! 粗相があっちゃいけないよ」
もぎとるようにしてお雪をつれて行くと、無理矢理有朋のそばへ坐らせて、お女将は、ここを先途と愛嬌をふりまいた。
「なにしろこの通りの赤児でございますから、いいえ、ご前、赤児ではございますけれど、大丈夫ですよ。三つの年からわたくしが娘のようにして育てた小婢でございますから、よろしいように。――もしえ、みんなもなにをしておるんだえ。あちらの御浪人さんのお酒なんぞあとでいいよ。早くこちらへお運び申しておくれ」
ピシャリと、新兵衛の座敷の襖が鳴った。
白い歯を剥いて、有朋がにっと笑うと、荒々しく閉ったその襖を目でしゃくり乍ら、平七に言った。
「おまえ、あれと朋輩じゃろう。用はない。あれの方へ行け」
「……?」
「ここにはもういなくてもよいから、あちらへ退れというのじゃ。早く退れっ」
「そうでございますか。あちらへ行くんですか……。やあ君。ゆうべは失敬。さがれと言ったからやって来たよ」
のっそりとした顔をして、平七は、追われるままに這入っていった。
「馬鹿めがっ」
待ちうけるようにして、新兵衛が睨みつけた。