Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Lesen Sie 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 57.249 Zeichen · 115 Bildschirme
「そうか! そうであったか! 逸まったな! 斬るとは逸まったことをしたな……」
「俺もじゃ。この門七も計りすぎたわ。その上、おぬしと知らずに斬ったは、俺も逸まったことをしたわ……」
嘆き合っているとき、突如、夜陰の空に谺して、ピョウピョウと法螺の音がひびき伝わった。
あとから、鼕々と軍鼓の音が揚った。――同時に城内くまなくひびけとばかりに、叫んだ声が流れ伝わった。
「出陣じゃ! 出陣じゃ!」
「俄かに藩議がまとまりましたぞう!」
「会津へ援兵と事決まりましたぞう!」
「出陣じゃ! 出陣じゃ!」
きくや、手負いの二人は期せずして目を見合せ乍ら言った。
「千之!」
「門七!」
「無念じゃな……」
「残念じゃな……」
「ここで果つる位ならば、本懐遂げて死にたかったわ」
「そうよ、華々しゅう斬り死にしたかったな」
「許せ。許せ」
「俺もじゃ。せめて見送ろう!」
「よし行こう!」
左右から這い寄ると、血に濡れ、朱に染みた二人はひしと力を合せて抱き合いつつ、よろめきまろぶようにし乍ら、漸く表の庭先まで出ていった。
同時に二人の目の向うの、月光散りしく城内遥かの広場の中を騎馬の一隊に先陣させた藩兵達の大部隊が軍鼓を鳴らし、法螺の音を空高く吹き鳴らし乍ら、二旒の白旗を高々と押し立ててザクザクと長蛇のごとく勇ましげに進んでいった。