Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
フラフラ立ち上がって国芳は桐庵と仕事場のほうへでていったが、すぐまた二人してかえってくると、
「じゃ先生、何でもお前さん、あけりゃんこのところをこの人たちにいってやっておくんなせえ、私ァちょいと他行だ」
親指と人指指とを丸めて猪口の形をこしらえ、ニヤリ口のところへ持っていって見せると熟柿臭い呼吸を吐きちらしながら国芳、芳年芳幾の二人を促がしてまたフラフラとでていってしまった。
あとへは桐庵先生を枕許に、圓太郎夫婦と玄正とがのこされているばかりだった。
……駄目だというのかな、こりゃことによると。
そう、きっとそれにちがいない。
でなければこんな自分たちだけをのこして、さっさと国芳お師匠さんが引き取ってっておしまいなさるわけがない。
一瞬間誰もの胸をスーッと外ぎってゆく暗い冷たいものがあった。そういっても重苦しいものでいっぱいに皆の胸がしめつけられてきた。それには薄暗いこの部屋の鼻をつく絵の具の匂いが屍臭をおもわせて不吉だった。
「……」
圓太郎夫婦の、玄正の、期せずして六つの目が、桐庵先生の無精鬚だらけの塩鰤をおもわせる顔の上へと集まった、紅か白粉かと胸戦かして最後の宣告を待つもののように。