Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Lesen Sie 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) von 正岡 容 (まさおかいるる) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 163.270 Zeichen · 325 Bildschirme
それからやっと自分たちの食事になった。
こちらは濛々と大きなお鍋から湯気が立って、傍目にはひどく美味しそうだったが、取柄といえば温いばかり。今夜も下らなく仇辛いお雑炊だった。
お菜はひね沢庵が三切れずつ。
でも次郎吉を除く皆はフーフー吹きながら、幾杯もお代りをしては啜り込んでいた。幾度かジロリジロリこちらを睨むようにしている義兄の目を感じながらも次郎吉は、どうしてもたべることができなかった。
二杯――やっとの思いで二杯だけたべた。
それから火の気のない本堂へ坐って、永いこと皆とお経を誦んだ。
観自在菩薩、深般若波羅蜜多……。
般若心経だった。霜夜の往来に立ちつくしているようキーンキーンと痛く膝頭を凍らせながら次郎吉も、皆のあとへ従いてそのお経をモグモグ口の中で誦んだ。あまりの寒さが、風花落ちかかる夜更けの街から街を慄えていく寒念仏の辛い境涯が、そのまましきりにいま自分の上にあてはめて考えられてきた。いつかお経は上の空になった。そのとき皆のお経の声がひとしお耳許でグワッと波打って高まってきて、ポトンと絶えた。おしまいだった。
そうしてやっと各自が寝間へ引き取るのだった。