Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しょうせつのタネ

小説のタネ

吉川 英治

Lesen Sie 小説のタネ (しょうせつのタネ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.376 Zeichen · 23 Bildschirme

Aozora Bunko

『今日は御隠居さまはお留守ですか』

と言ったりしましたよ。その凡骨にベンタツされて初めての新聞小説をひきうけたんですから、およそ僕にそんな用意も野望もなかったことがわかるでしょう。

そこでまあ、書きだしたもんの、正直夢中でしたね。まず予告のタイトルを社へ渡すと、千葉亀雄さんから、「鳴門秘帖」の“帖”は“帳”の間違いだろうといって来られた。間違いじゃない“帖”ですと言うと、あの人のことだから、イヤ帳の方が正しい、とその根拠や引例を電話で三十分も論じたてる。それに強情を張って、まず書くまえから一悶着でしたから、いよいよ重荷を感じましたね。

次に、あれのヒントですが、種をあかすと、司馬江漢(江戸中期の洋画家)の随筆「春波楼筆記」があれのタネ本です。

有朋堂文庫に入ってますね、その中に活字にして約十五、六行の一章がある。あれなんですよ、「鳴門秘帖」のエキスは。

一口に話すとこうですね。ある年、司馬江漢が熱海へ入湯に行ったんです。すると、宿屋の裏に、大名の湯御所がある、つまり別荘です。江漢が早起きなので、未明に眼をさます頃というと、塀を隔てたその湯泉屋敷で弓弦が聞こえる。