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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつちゅうのおんな

小説中の女

豊島 与志雄

Lesen Sie 小説中の女 (しょうせつちゅうのおんな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.887 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女は自分の家に、小さなアトリエと広い庭とを持っていた。私達は庭の草花を見ながら、アトリエの中で雑談を初めた。

暫くすると、女中がN夫人の来訪を知らしてきた。私達は辞し去ろうとした。それを女主人は引止めた。そして彼女の言葉によると、N夫人は彼女の旧友で、今では善良な一家の主婦だが、以前は優れた歌人だったそうである。

其処へN夫人がやってきた。セルの着物に小紋の絽の羽織を引っかけて、散歩ついでという様子だった。私達はそれぞれ紹介された。私は何だか夫人に見覚えがあるような気もしたが、はっきり思い出せないので、「初めまして」と挨拶をして、丁寧に頭を下げておいた。

やがて私は、初対面のN夫人が加わったために、妙につまらなくなって、いつしか会話の圏外に出て、立ち上って庭の入口に出た。そして煙草を吹かしてると、N夫人は私の方へやって来た。

「いつぞやお目にかかったことがあるようでございますが。」と彼女は落付いた微笑を浮べながら云った。

「そうでしたかしら……。」

私は振向いて彼女を眺めた。それから、襟元の黒子が眼についた。彼女だったのだ……あのみさ子は。

私は惘然として言葉もなく立竦んだ。