Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しょうせつちゅうのおんな
小説中の女
豊島 与志雄
Lesen Sie 小説中の女 (しょうせつちゅうのおんな) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.887 Zeichen · 16 Bildschirme
窓の方を向いて、遠く闇の中に走ってゆく点々とした灯を、ぼんやり見送った。けれど頭の中には、みさ子の顔立がはっきり浮彫になされていた。
程ヶ谷を過ぎた時、私はまた彼女の方へ眼をやった。その瞬間に、彼女の眼がまた私の方へ向いて、私の視線を押し返した。私は眼を伏せた。すると、ぶ厚いフェルトの草履にのっかってる彼女の足先に、丁度私の眼は落ちた。一分のすきもなく白足袋にきっかりはまって、長そうな指先の※った、平たく踏み広げられていない、恰好のよいちんまりした足先だった。みさ子にもこういう足先を与えてやろう、と私は思った。そしてまた我知らず、彼女の身体を見調べ初めた。井桁くずしのお召の着物が軽やかに垂れてる下に、彼女の足はすらりと伸びてるらしかった。みさ子にもそういう長い足がふさわしかった。ただ彼女の方は、どんなに想像しても跛足ではなさそうだった。然しみさ子は、一目では分らぬくらいのかすかな跛足だった。女学校の二年の時、不意の失火で家が焼けて――それ以来一家は零落しみさ子は学校を退ったのであるが……その折左足を挫いて、それが膝関節の神経痛となり、今でも時々痛むことがあった。