Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょじごく

少女地獄

夢野 久作

Lesen Sie 少女地獄 (しょうじょじごく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 105.174 Zeichen · 206 Bildschirme

Aozora Bunko

「汽車オーライ」

って両手を上げたの。あそこは家の蔭から急に鉄道踏切に乗り上げるばっかりじゃない。午後八時過は踏切番がいないので、慣れないトラックが二、三度引っかけられた事のあるトテモあぶない処なのよ。新高さんはチャント汽車の時間表を知っていて、御自慢のナルダンの腕時計を見い見い運転して来て、大丈夫と思ったら、妾が「オーライ」と車の中から言っただけで一気に突き抜ける処なのよ。それにこの時に限って御念入りにスピードを落して妾を呼ぶんですから妾、おかしくなっちゃったわ。

香椎でお客が三人降りたので、妾はビッショリ濡れたまままた、運転台に新高さんと並んで坐ったのよ。けども新高さんは別に何も言わなかったわ。ただ、

「寒かったろう」

とタッタ一言、低い声で言った切りステキなスピードを出して、香椎から一時間足らずのうちに折尾に着いたの。そうして二人してボデーを洗う間、一言も言わないまんまで家へ帰って、やはり黙りこくって二人でお酒を飲む間じゅう、睨み合いみたいになっていたの。新高さんは、いつも無口なんですけど、この時ばっかりは特別に、何ともカンとも言えない変な工合だったのよ。