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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうしょうしげもとのはは

少将滋幹の母

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme

Aozora Bunko

ことであろう。いや、事に依ると、滋幹は、四十二三歳に及んでから、いよ/\母を思う念が切になって、生れて始めてこう云うものを筆にする気になったのではなかろうか。実際それは、日記と云えば日記であるが、幼くして母に生き別れ、やがて父に死に別れた少年時代の悲しい回想から説き起して、それより四十年の後、天慶某年の春のゆうぐれに、西坂本に故敦忠の山荘の跡を訪ねて、図らずも昔の母にめぐり逢う迄のいきさつを書いた、一篇の物語であると云ってもよいのである。

日記に依って想像するのに、滋幹の母の記憶は、彼が四つぐらいの時から少しずつ残っているらしいのであるが、最初の頃のは極めておぼろげな、霞のように淡いものであるに過ぎない。彼は自分の身に取っても、父の国経に取っても、一生涯の大事件であったあの夜のこと、―――母が本院の大臣に連れて行かれた夜のことについては、何もおぼえていないのであって、たゞいつからか、母がもう自分の家にいないようになったことを、誰かに聞かされて、急に大変悲しくなって泣いたのであった。彼にその話をしてくれたのは、多分老女の讃岐であったか、乳人の衛門であったか、孰方かであろう。