Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
お父さまは何とかしてお母さまのことをお諦めになろうとして、その修行をなすっていらっしゃるのですよ、と云うのであった。
そう云えば滋幹は、父について生涯忘れることの出来ない或る恐ろしい思い出を持っているのであるが、それはちょうどその前後のことであった。その頃父は幾日間も、晝夜の別なく静坐と沈思をつゞけていて、いつ食事をし、いつ眠るのであろうかと、滋幹は不審に堪えかね、夜中乳人に気付かれぬように寝間を忍び出て、佛間のところへ行って見ると、障子の中にはかすかに燈火がともってい、父は晝間と同じ姿勢で坐っていた。例の如く隙間から覗いていた滋幹は、いつ迄たっても父の姿が彫像のように動かないので、再びそうっと障子を締めて、部屋へ戻って寝てしまったが、その明くる晩も気になって覗きに行くと、依然として父は昨夜の通りにしていた。が、たしか三日目の夜中のこと、又しても好奇心に駆られて、足音をさせないように爪先立てゝ歩いて行って、障子をいつも程に細目に開け、じーっと息を凝らしていると、燈台の灯先が風のないのにゆら/\としたと思った途端に、父が俄かに両肩を揺がして、身じろぎをした。