Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しょうしょうしげもとのはは

少将滋幹の母

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme

Aozora Bunko

「お母さま!」

と、突然云った。尼は大きな体の男がいきなり馳せ寄ってしがみ着いたのに、よろ/\としながら辛うじて路ばたの岩に腰をおろした。

「お母さま」

と、滋幹はもう一度云った。彼は地上に跪いて、下から母を見上げ、彼女の膝に靠れかゝるような姿勢を取った。白い帽子の奥にある母の顔は、花を透かして来る月あかりに暈されて、可愛く、小さく、圓光を背負っているように見えた。四十年前の春の日に、几帳のかげで抱かれた時の記憶が、今歴々と蘇生って来、一瞬にして彼は自分が六七歳の幼童になった気がした。彼は夢中で母の手にある山吹の枝を払い除けながら、もっと/\自分の顔を母の顔に近寄せた。そして、その墨染の袖に沁みている香の匂に、遠い昔の移り香を再び想い起しながら、まるで甘えているように、母の袂で涙をあまたゝび押し拭った。