Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
誰しも老年になると、若い人からちょっとしたいたわりの言葉をかけられても、つい嬉しさが身にこたえてほろりとするものであるのに、まして生れつきおめでたい、気の弱い国経なのである。殊に相手は甥と云っても、天下の一の人であり、昭宣公の跡を継いで摂政にも関白にもなるべき人であるのが、さすがに骨肉の親しみを忘れず、何の取柄もない老いたる伯父に斯くまで眼をかけてくれるとは。
「やっぱり長生きはするものですね」
と、或る晩老人は、北の方のゆたかな頬に皺だらけな顔を擦りつけて云った。
「わたしはあなたのような人を妻に持って、自分の幸福はもう十分だと思っていましたのに、そのうえ近頃は左大臣のようなお人から、斯ように優しくして戴ける。………ほんとうに、人はいつどんな時にどんな好運にありつくか分らないものです」
老人は、北の方が黙ってうなずいたのを自分の額で感じながら、一層つよく顔を擦り着け、両手で項を抱きかゝえるようにして彼女の髪を長い間愛撫した。二三年前まではそうでもなかったのであるが、最近になって老人はだん/\愛し方が執拗になり、冬の間は毎夜北の方を片時も離さず、一と晩じゅう少しの隙間も出来ないようにぴったり体を喰っ着けて寝る。