Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
―――最初、国経が御簾の蔭へ手をさし入れると、御簾の面が中からふくらんで盛り上って来、紫や紅梅や薄紅梅やさま/″\な色を重ねた袖口が、夜目にもしるくこぼれ出して来た。それは北の方の着ている衣裳の一部だったのであるが、そんな工合に隙間からわずかに洩れている有様は、萬華鏡のようにきら/\した眼まぐるしい色彩を持った波がうねり出したようでもあり、非常に嵩のある罌粟か牡丹の花が揺ぎ出たようでもあった。そして、その、人間の大きさを持った一輪の花の如きものは、漸う半身を現わしたところで、まだ国経に袂をとらえられたまゝ静止して、それ以上姿を現わすことを拒んでいるように見えた。国経はやおらその肩へ手を廻して抱きかゝえるようにしながら、もっとその人を客人たちの方へ引っ張って来ようとする風であったが、そうされるとなおその人は、御簾のかげに身を潜めようとした。顔に扇をかざしているので、目鼻だちは窺うよしもなく、扇を支えている指先さえも袖の中に隠れていて、たゞ両肩からすべっている髪の毛だけが見えるのであったが、
「おゝ!」
と叫んで、時平は恰も美しい夢魔から解き放たれたように、つと御簾の傍へ走り寄ると、大納言の手を振り払って、自分がその袂をしっかりと掴んだ。