Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
地位や権勢を利用して他人の所有物を強奪するのでは、身も蓋もない野暮な話で、自慢にも何もなりはしない。左大臣のやり方は、他人の面目や世間の掟を蹈み躙った傍若無人な行為であるのみか、色道の方でも仲間の仁義を無視した仕方で、あれでは色事師の資格はないと云うべきである。そう思うと平中は、何か知ら不愉快なものが胸に残るのであった。女に好かれる男の常として、なまけ者ではあるけれども、洒脱で、のんきで、人あたりがよくて、めったに物にこだわらない彼なのであるが、今度は例になく、時平のしたことが腹が立ってならなかった。
元来彼があの北の方に寄せていた感情は、前にも云うように通り一遍の色恋よりは深いものがあったので、あの当時もしあのまゝで進んだならば、まだもっと関係が続いたかも知れないのに、彼にしては柄にもなくあの好人物の老大納言に惻隠の情を催して、これ以上罪を重ねることが厭わしくなったところから、努めて彼女のことを忘れるようにして、遠のいたのであった。時平は勿論彼のそう云う胸中を知っていよう筈はないけれども、それにしても平中は、時平のためにその折角の心づかいを無駄にされてしまったのである。