Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 83.234 Zeichen · 160 Bildschirme
二人は官職や位階から云えば大きい隔たりがあるけれども、系図や家柄を論ずれば平中も遜色はないのだし、趣味や教養も同等であるし、どちらも女好きな貴族の美男子なのである。従って、二人が常にどんなことを面白がってしゃべり合っていたか、大凡そ見当がつくのであるが、でも平中は、左大臣のお相手をするのが唯一の目的で此の邸へ来るのではなかった。いつでも彼は夜が更けるまで御前で話し込んでから、頃あいを測って暇を告げるのであるが、そのまゝ真っ直ぐ自分の館へ帰ることなどはめったになかった。大臣の前は帰った体にしておいて、実はそうっと女房たちの局の方へ忍んで行き、侍従の君のいるあたりをうろ/\するのが例になっていて、ほんとうは此の方が目的なのであった。
しかし甚だ笑止なことに、平中は去年以来此の忍び歩きを繰り返して、或る時はこゝぞと思う遣戸の外で息を凝らしてみたり、勾欄のほとりに彳んでみたり、根気よく機会をうかゞっているのであるが、いつもの彼にも似ず、今度ばかりは運が悪くて、未だにその人の心を動かすことが出来ないのみか、世に稀な美女であると噂の高いその容姿を、垣間見たことすらないのであった。