Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうねんとうみ
少年と海
加能 作次郎
Lesen Sie 少年と海 (しょうねんとうみ) von 加能 作次郎 (かのうさくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.808 Zeichen · 10 Bildschirme
船が揺れた拍子に、波のあおりを食って、どの舟も一様にゆらゆらと小さな動揺を始めました。為吉は舳へ行って、立ったまま沖を眺めました。
「矢張り白山が見える!」
こう彼は口の中でつぶやきました。青い海と青い空との界に、同じような青の上に、白い薄いヴェールを被ったような、おぼろげな霞んだ色に、大きな島のように浮んでいました。白い雲が頂の方を包んでいました。
為吉は心をおどらせました。白帆が二つ三つその麓と思われるところに見えました。じっと見つめていると、そこから大風が吹き起り、山のような大浪が押し寄せて来そうな気がしました。あの白帆が、だんだんこちらへ風に追われて来て、真正面にこの村の岬へ吹きつけられ、岩の上に打ちあげられて、そこに難破するのではなかろうかと為吉は自分で作った恐怖におそわれるのでした。漫々として浪一つ立たない静かな海も、どこかその底の底には、恐ろしい大怪物がひそんでいて、今にも荒れ出して、天地を震撼させそうに思われました。耳をすますと遠い遠い海のかなたが、深い深い海の底に、轟々と鳴り響いているような気がするのでした。
ふと対岸の福浦岬の上にあたって、むくむくと灰色の古綿のような雲が上って来たのを見とめた時、為吉は、「南東風だ!」