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Japanische Klassiker mit Furigana

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したいいへん

屍体異変

森 於菟

Lesen Sie 屍体異変 (したいいへん) von 森 於菟 (もりおと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.047 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

其時である。屍体の膏でヌルヌルしている台と木枕との間がすべってガタンと大きな音がしたと思うと屍体が俯伏になってY君の肩に倒れ掛り、冷たい棒のような手がY君の横面をピシャリと叩いた。今とちがって左翼意識が何かしら新鮮らしい感を与え若い者の機嫌をとる人は皆そんな事を口にしがちであった時代であるにも拘らず、未だ其言葉こそなかったがファッショの代表のような彼、封建時代的武勇に秀でた彼も瞬間慄然とした。其時、そして猶工合のわるい事には何分の一秒かの間隔をおいて女の頭の皮の髪にもつれた脂じみた黄楊の櫛がはらりと彼の足許に落ちたのである。声こそ立てなかったがY君は匆卒にノートを引さらって室をとび出し、先程どなりつけた小使のわきの蒲団にもぐりこんだ。そして翌朝は一番の東海道下り列車で、多分同じ黄楊の小櫛で洗髪をすいているだろう所の愛妻の許へと帰ったのである。

(一九三三年十一月五日)