Japanische Klassiker mit Furigana
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したいいへん
屍体異変
森 於菟
Lesen Sie 屍体異変 (したいいへん) von 森 於菟 (もりおと) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.047 Zeichen · 12 Bildschirme
又粘液嚢は普通其中の粘液が少い為にひしゃげているので膠の溶かしたのに青や赤の染料をまぜて注入して之を明かにする。然し嚢の壁は薄いので注射の際に破れたり染料のとき方が悪ければ周囲にしみ出したりするので必ずしも容易でない。仕事がこういうものだからY君は夜遅くまで只一人屍体と取組んでいるのである。
場所は東洋一の古い大学で、百卅余名の学生が同時に解剖実習の出来る大実習室、教室の裏の別棟になっていて、その又裏は加賀侯以来の山上御殿(震災前の話である)を囲る古池に添うた道に接してその間の若干坪の空地には足を踏み入れる所もない程熊笹に混って萱草蓬の類が生い茂っている。たたきの床の上に十六の実習台が二列にずらりと並んでいる。長方形の大広間は一方が扉によって屍体の貯蔵室に隣っている外、他の三方は広い硝子窓が並び、建築の様式が古い為に窓と窓との間には約半間幅位の壁がある。天井の採光窓と共に流れ入る光線の量は相当に多いのであるが、何しろ其頃六十歳を越えていた教授の青年時代の建築なのですべて古びて壁も板も黒ずみ陰欝である。まして夜になれば滅多に使った事のない電球のあまり大きくないのが三個ばかり蜘蛛の巣だらけになって吊り下っているだけである。