Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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そううんきょうよりだいせつざんへ

層雲峡より大雪山へ

大町 桂月

Lesen Sie 層雲峡より大雪山へ (そううんきょうよりだいせつざんへ) von 大町 桂月 (おおまちけいげつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.082 Zeichen · 20 Bildschirme

Aozora Bunko

南に下り、姿見の池を右にして、渓谷の中に入る。天地は椴松と白樺とに封ぜられたり。渓即ち路也。水、足を没す。膝までには及ばず。岩石あれば、岩石より岩石へと足を移す。沢蟹がおりそうなりとて、嘉助氏石を取りのけしに、果しておりたり。一同傚いて、行く行くこれを捕う。大さ一寸乃至二寸、身は蝦にて、螯だけが蟹也。この夜、渓畔に天幕を張り、これを煮て食う。旨しとは思わざるが、ともかくも余には初物也。天麩羅にすれば旨しと、嘉助氏いえり。午前二時目覚む。雨の音を聞く。ことことと鍋の動く音をも聞く。雨が動かすに非ず。風が動かすにも非ず。熊にや、狐にや、狸にや。嘉助氏咳して、目覚めておる様子なれば、問いて見たるに、木鼠なりといえり。うとうとして、三時半目を開きしに、樹影天幕に映れり。うれしや、雨止みて、月出でたる也。

次の日も渓の中を行くに、渓の幅次第に広く、水次第に多し。幣の滝を下り、二、三十人を立たしむべき磐石の上に立ちて、滝を見上ぐ。十丈もあらむ。飛沫日光に映じて、虹を現わす。瀑の左に直立せる絶壁の面に穴多く、岩燕出入して、虹の中に舞えり。渓ますます広し。虎杖人より高く、蕗も人より高し。