Japanische Klassiker mit Furigana
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やまだちもんどう
山だち問答
山本 周五郎
Lesen Sie 山だち問答 (やまだちもんどう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.163 Zeichen · 32 Bildschirme
「子供だましかどうか自分は知らない、然し約束は約束だ」と、玄一郎はしずかに云った、「……御用をはたした帰りには必ず身ぐるみ脱ぐ、志操高潔だという貴公たちがさむらいならわかるだろう、武士に二言はない」
「やかましい、裸になるかひと戦さか二つに一つだ、文句はぬきだ」
「武士なら武士らしくきっぱりしろ、抜くか、脱ぐか」
「ええ面倒だ片付けてしまえ」
段だん気合が乗ってきた。かれらは自分たちの呶号に自分たちが昂奮し、おのおの得物をとり直して、まさに打ちかかるようすだった。すると例のずぬけた巨漢が、「待て待て」と大きく手を挙げて仲間を制止した。
「いいからみんなちょっと待て、こんなばかげた話は初めてだが、武士に二言はないという言葉が気にいった、それに嘘がないかどうか試してみよう」
「それでは承知して呉れるか」
「待とう、但し断わって置くが、約束を破ったり変なまねをしたりすると、この始終を天下に触れて笑いものにするぞ」
「念のいったことだ」
玄一郎は微笑しながら頷ずいた。
「……では借りてまいる」
そして主従はそこを通りぬけた。……峠を越えて下りにかかると、月光の下に坂田郷の山々の美しい起伏が展開し、道の左右にもちらほら人家がみえだした。