Japanische Klassiker mit Furigana
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やまだちもんどう
山だち問答
山本 周五郎
Lesen Sie 山だち問答 (やまだちもんどう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.163 Zeichen · 32 Bildschirme
娘はそれを予期していたらしい、そのくせそ知らぬ風を装っているのがよくわかった。年はまだ十七くらいだろう、うわ背のある肉付ゆたかな体で、横顔だからよくはわからないが、線のはっきりした肯かぬ気らしい眉つき口もとをしている、かたくひき緊った頬と、くくれたような顎に特徴があった。
「宗田でも気が利かないねえ」娘は玄一郎を無視した態度で続けた、「……私が途中で降られているくらいわかるだろうに、雨具を持たせてよこす気にもならないのかしら、こうしてぼんやり雨宿りをしているくらいばかげたかたちはないよ」
これはたいへんな者だと、玄一郎は驚いた。
宗田といえばこの大垣藩の老職を勤める戸田采女正を指す、戸田に三家あるので、宗田という処に屋敷のある采女正をそういうのだが、宗田と呼捨てにできるのは国家老だけの筈だ、たとえ公けの席でないにしてもそこにげんざい家中の侍がいるし、然もまだ年若の少女の身で平然とそう呼ぶのはなみ外れて聞える、――いったい誰のむすめだろう、玄一郎はもういちどそっちを見た。
「ひどい飛沫じゃないか」と、娘は片手で裾前をつまみながら云った、「……こうしていては雨をよけても飛沫で濡れてしまう、おまえ宗田までいって雨具を借りておいで」