Japanische Klassiker mit Furigana
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やまのはる
山の春
高村 光太郎
Lesen Sie 山の春 (やまのはる) von 高村 光太郎 (たかむらこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.835 Zeichen · 8 Bildschirme
ツララがさかんになる頃には、水田の上にかぶさっていた雪の原に割れ目ができてくる。大てい畔にそって雪は解ける。雪の断層ができて、山岳でいう雪の廊下のようになる。それがくずれて、南側の日あたりに枯草の地面が顔を出す。地面が顔を出すが早いか、忽ちここの日光をしたってフキの根からぽっかり青いフキノトウが出る。このへんではこれをバッケとよんでいる。二つ、三つ、雪の間の地面にバッケを見つけた時のよろこびは毎年のことながら忘られない。ビタミンBCの固まりのようだ。さっそく集めて、こげいろの苞をとりすて、青い、やわらかい、まるい、山の精気にみちた、いきいきとしたやつを、夕食の時、いろりの金網でかろくやき、みそをぬったり、酢をつけたり、油をたらしたりして、少々にがいのをそのままたべる。冬の間のビタミン不足が一度に消しとぶような気がする。たくさんとった時は東京で母がしたように佃煮にしてたくわえる。痰の薬だといって父がよくたべていた。
バッケには雌雄の別があって、苞の中の蕾の形がちがう。雌の方は晩春のころ長く大きく伸びてタンポポのような毛のついた実になって、無数に空中を飛んでゆく。