Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまぶきちょうのさつじん

山吹町の殺人

平林 初之輔

Lesen Sie 山吹町の殺人 (やまぶきちょうのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.530 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

それは、大宅が役所へつとめてから間もなく田舎(いなか)の女学校を出て上京してきた、許嫁(いいなずけ)の嘉子(よしこ)だった。大宅は嘉子と同棲する前に、そうするのが義務であると信じて、すっかり光子との従来の関係を彼女に平気で自白してしまったのであった。その時嘉子の顔がさっと曇ったのを大宅は今でもよく記憶していた。

光子からはその後時々手紙がきた。二人は会った時はいつも淡白にわかれたが、手紙ではかなり濃厚な文字をつらねることもあった。まるで普通の男女間の交際の公式の反対なのだ。それで光子からその手紙がつく度(たび)に、嘉子の心が平らかでなかったことは、言うまでもなかった。嘉子は明(あきら)かに二人の関係を誤解しているのだし、誰だって誤解するにきまったような関係でもあったのだ。

ことに、昨日の朝着いた光子からの手紙には、是非今日会って話したいことがあると書いてあったので、それがもとになって、彼が光子にまだ仕送りをつづけているのはあまりに嘉子をふみつけにしたしうちだと、嘉子が涙ぐんで食ってかかったのをきっかけに、今朝(けさ)、役所へ出がけに二人は同棲後はじめてひどい喧嘩(けんか)をしたのであった。