Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまぶきちょうのさつじん

山吹町の殺人

平林 初之輔

Lesen Sie 山吹町の殺人 (やまぶきちょうのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.530 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

ことによると嘉子は何も知らぬのじゃないかしら。いやそんなことは絶対にあり得ない。今朝の彼女の言葉、いま光子のことをわざと一言も言いださぬ点、つとめて落ちついた態度を装っているらしいこと、それ等(ら)の事実は、すべて彼女が犯人だという断定に帰着してゆくのであった。

――しかし、すんだことはしかたがない。なるべくこの事件は、このまま秘密に葬られてしまってくれればよいが、人を殺すというようなことは許すべからざる大罪だが、もとはみんな自分のためだ。自分を愛すればこそ、嘉子はあんな大胆なことをしたのだ。法網をくぐるのはよいことではないが、あの女が法のさばきを受けるとなると、自分は手を下さずして二人の女を殺したも同然になる。何とかしてこのままにそっとすましてしまいたいものだ――

四

三四郎はその晩一睡もできなかった。宵(よい)に目撃した惨劇、それにつながる様々な回想と、臆測とが、次から次へと彼の頭の中を交替して占領するのであった。神経は針のように尖って、ごとりと音がしても、警官がふみこんで来たのではないかと思ってひやりとした。

――嘉子が果(はた)して犯人だろうか? ――この疑いは特に彼を苦しめた。