Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Lesen Sie 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.608 Zeichen · 84 Bildschirme
三十分ほども経ったろうか。突然、冷たい感触が私を目醒めさせる。風が出たのか? 起上って窓から外を見ると、近くのパンの木の葉という葉が残らず白い裏を見せて翻っている。有難いなと思って、急に真黒になった空を見上げている中に、猛烈なスコールがやって来た。屋根を叩き、敷石を叩き、椰子の葉を叩き、夾竹桃の花を叩き落して、すさまじい音を立てながら、雨は大地を洗う。人も獣も草木もやっと蘇った。遠くから新しい土の香が匂って来る。太い白い雨脚を見ながら、私は、昔の支那人の使った銀竹という言葉を爽かに思い浮かべていた。
雨が霽ってからしばらくして表へ出て見たら、まだ濡れている敷石路を、向うから先刻の夾竹桃の家の女が歩いて来た。家に寝かし付けて来たのか、赤ん坊は抱いていない。私と擦れ違ったが、視線を向けもしなかった。怒っている顔付ではなく、全然私を認めないような、澄ました無表情な顔であった。
ナポレオン
「ナポレオンを召捕りに行くのですよ」と若い警官が私に言った。パラオ南方離島通いの小汽船、国光丸の甲板の上である。
「ナポレオン?」
「ええ、ナポレオンですよ」と若い警察官は私の驚きを期待していたように笑いながら言った。