Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Lesen Sie 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.608 Zeichen · 84 Bildschirme
「昼頃にはS島に着くようなことを船長は言っとったが、この間みたいに半日も流されて、行過ぎとるなんてことがあるから、あてにはなりませんなあ。」
警官は話を換えて、そんなことを言い、伸びをしながら、眼を海の方に向けた。私もまたそれにつられて、何ということもなく、目を細くして眩しい海と空とを眺めた。
底抜けの上天気である。何という光り輝く青さだろう、海も空も。澄み透る明るい空の青が、水平線近くで、茫と煙る金粉の靄の中に融け去ったかと思うと、その下から、今度は、一目見ただけでたちまち全身が染まってしまいそうな華やかな濃藍の水が、拡がり、膨らみ、盛上って来る。内に光を孕んだ豊麗極まりない藍紫色の大円盤が、船の白塗の欄干の上になり下になりして、とてつもなく大きく高く膨れ上り、さてまたぐうんと低く沈んで行く。紺青鬼という言葉を私は思出した。それがどんな鬼か知らないが、無数の真蒼な小鬼どもが白金の光耀粲爛たる中で乱舞したら、あるいはこの海と空の華麗さを呈するかも知れないと、そんなとりとめない事を考えていた。
しばらくして、余りの眩さに海から眼を外らして前を見ると、つい先刻まで私と話していた若い警官は、布製の寝椅子に凭ったまま、既に快げな寝息を立てていた。