Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Lesen Sie 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.608 Zeichen · 84 Bildschirme
僅か二年の間に自分の生れた土地の言葉をみんな忘れてしまうなんてことが。」
二年間この島でトラック語ばかり使っていたために、ナポレオンはパラオ語を忘れ果てたという。公学校で二年ほど習った日本語を忘れたというのなら、これは解る。しかし、生れた時から使って来たパラオ語まで忘れるとは? 私は首を傾けた。だが、万更、有り得ないことではないかも知れんなと思った。しかし、また一方、警官の訊問を避けるための偽りでないと誰が知ろう。「さあね」と私はもう一度首を傾げた。
「わしもね、奴が嘘をついとるんじゃなかろうかと大分責めて見たんですがな、やっぱり本当に忘れてしまったらしい所もあるし。」と警官はそう言いながら額の汗を拭い、此方に背中を向けているナポレオンの方を忌々しそうに見遣った。「とにかく、不貞腐れた、生意気な奴ですよ。まだ子供のくせに、こんな強情な野郎は無い。」
午後三時、いよいよ出帆だ。ゴトゴトいうエンジンの音と共に船体が軽く上下に揺れ出した。
私は警官と甲板の椅子に凭って(我々二人だけが一等船客だったのでいつも一緒にいない訳に行かないのである)島の方を見ていた。