Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Lesen Sie 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.608 Zeichen · 84 Bildschirme
椰子の根元に立った二人の幼児は、島民らしくない小綺麗な服を着ている。彼らと話を始めようとしたのだが、生憎、コンニチハの外、何にも日本語を知らないのである。島民語だって、まだ怪しいものだ。二人ともニコニコしながら何度もコンニチハと言って頭を下げるだけだ。
その中に、家の中から若い女が出て来て挨拶した。子供らに似ている所から見れば、母親だろう。余り達者でない・公学校式の角張った日本語で、ウチヘハイッテ、休ンデクダサイと言う。ちょうど咽喉が涸いていたので、椰子水でも貰おうかと、豚の逃亡を防ぐための柵を乗越して裏から家の庭にはいった。
恐ろしく動物の沢山いる家だ。犬が十頭近く、豚もそれ位、その外、猫だの山羊だの鶏だの家鴨だのが、ゴチャゴチャしている。相当に富裕なのであろう。家は汚いが、かなり広い。家の裏からすぐ海に向って、大きな独木舟がしまってあり、その周囲に雑然と鍋・釜・トランク・鏡・椰子殻・貝殻などが散らかっている。その間を、猫と犬と鶏とが(山羊と豚だけは上って来ないが)床の上まで踏み込んで来て、走り、叫び、吠え、漁り、あるいは寝ころがっている。大変な乱雑さである。