Japanische Klassiker mit Furigana
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たかせぶね
山椒大夫・高瀬舟他四篇
Lesen Sie 山椒大夫・高瀬舟他四篇 (たかせぶね) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.395 Zeichen · 40 Bildschirme
取調役のさしずで、同心が一人長太郎の手から書付を受け取って、縁側に出した。
取調役はそれをひらいて、いちの願書と引き比べた。いちの願書は町年寄の手から、取り調べの始まる前に、出させてあったのである。
長太郎の願書には、自分も姉や弟妹といっしょに、父の身代わりになって死にたいと、前の願書と同じ手跡で書いてあった。
取調役は「まつ」と呼びかけた。しかしまつは呼ばれたのに気がつかなかった。いちが「お呼びになったのだよ」と言った時、まつは始めておそるおそるうなだれていた頭をあげて、縁側の上の役人を見た。
「お前は姉といっしょに死にたいのだな」と、取調役が問うた。
まつは「はい」と言ってうなずいた。
次に取調役は「長太郎」と呼びかけた。
長太郎はすぐに「はい」と言った。
「お前は書付に書いてあるとおりに、兄弟いっしょに死にたいのじゃな。」
「みんな死にますのに、わたしが一人生きていたくはありません」と、長太郎ははっきり答えた。
「とく」と取調役が呼んだ。とくは姉や兄が順序に呼ばれたので、こん度は自分が呼ばれたのだと気がついた。そしてただ目をみはって役人の顔を仰ぎ見た。