Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やまつばき

山椿

山本 周五郎

Lesen Sie 山椿 (やまつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.911 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

「わたしがみれんで愚かな許りに、貴方へもあの方へも申し訳のないことになってしまいました、でも、わたくしも苦しゅうございました、今日こそ、明日こそと思いながら、いざとなると心が臆れまして、――どうぞ、お赦し下さいまし」

主馬は黙ってきぬの泣くのを聞いていた。それから持っていた懐剣を静かに鞘へおさめ、大きく溜息をつきながら云った。

「いま話したとおりを、遺言に書くがいい、その人に関するところはなるべく精しく、私は向うで待っている」

懐剣を持って主馬はその部屋を出た。――寝所の行燈を居間へ移し、火桶の埋み火をおこして炭をついだ。庭の椿のあたりで猫の声がする。そうだ、もうとっくに椿が咲いている筈だ、今年はまだいちども見ていない。主馬は火箸を取って意味もなく灰をかきならした。首を振ったり、低く呻いたりした、「その他に方法はない」そんなことを呟いた、「きぬは自害しなければならない、だが自害とわかってもいけない、病死でなければ、――」主馬はまた呻いた。

きぬが居間へ来たのは、半刻ほど後のことだった。いちどに五つも老けたように、憔悴してみえた、頬が眼立ってこけ、唇は殆んど灰色になっていた。