Japanische Klassiker mit Furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Lesen Sie 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.441 Zeichen · 102 Bildschirme
「エエ。仕事を見付けなけあ逐(お)い出されそうですからね」
「ヒッヒッヒッ。ジッヘン。ゴロゴロゴロゴロ。ホホホ。何の記事かいな」
吾輩が差出した新聞の綴込を抱えた山羊髯は、紙面を鼻の先に押付けて、初号活字の標題(みだし)を探り読んだ。コンナ盲目(めくら)同然のおやじを、御大層に飼っとく新聞社は、まったくのところ、日本全国に無いだろう。
「この記事は今でも迷宮ですか」
山羊髯は記事を半分読みさしたまま、分厚い鉄縁の近眼鏡を外して、郡山の羽織の袖で拭いた。それからその眼鏡を片耳ずつ叮嚀に引っかけると、痩せ枯れた手でノロノロと山羊髯を撫でた。これだけの科(しぐさ)でも、生き馬の眼を抜く編輯長の資格は落第なんだが。
「ホッホッホ。新聞では迷宮じゃが……サアテナ……実際はモウ解決が付いておりはせんかナ……ホッホッヒッヒッ……」
「それじゃ貴方(あなた)には見当が付いてるんですか」
「付きませんな。現場(げんじょう)を見ておらんから」
「ヘエ。そんならドウ解決が付いてるんで……」
「目的無しの犯罪チウは在りませんてや」
「賛成ですね。僕も同意見です。ですから……」
「それじゃからその目的はモウ遂(と)げられとる頃と思う」