Japanische Klassiker mit Furigana
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さざんか
山茶花
佐左木 俊郎
Lesen Sie 山茶花 (さざんか) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.001 Zeichen · 10 Bildschirme
」
爺は、眼のあたりを少し赤くするようにして、息苦しい呼吸の間から、申しわけでもするように、吐切れとぎれに言った。そして、また腰をたたいたり、何か言い残したことがあると言うように、口をもぐもぐさせながら、とつおいつ山茶花を眺めていて、容易に家の中に這入ろうとはしないのであった。
「なあ長作。この山茶花は、ふんとにいい花、咲くちゃなあ!」
「…………」
長作は、爺の方を、白眼で、ちらりと見たきり、なんとも答えずに、腰から煙草入れを抜き取って、煙草に火をつけた。
爺は、ひどく間の悪さを感じた。そこで、足もとへ唾をして、それから山茶花のまわりを一巡した。
「なんて言ったって、こんだけの山茶花、この界隈に無えがら……」
「山茶花など、どうだって……それより、早ぐ寝で休んだらいかんべな、爺つあんは。」
長作は、煙草の煙を吐きながら、また、爺の方へ横目を遣った。そして、そこには重々しい雰囲気が醸し出された。
爺は、伜の気持ちを繕うようなことを、何か言い出そうとして、口を二三度動かしたが、ただ、口を動かし得たに過ぎなかった。さらに爺は、この山茶花を売って、いくらでも生計のたしにしたら……こう言おうと思ったが、それも思っただけで、口に出す前に、伜が、どういう返事をするかが気になった。