Japanische Klassiker mit Furigana
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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
Lesen Sie 山谿に生くる人々 (さんけいにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.699 Zeichen · 67 Bildschirme
ちょうど、その時分、隧道と凾渠とのコンクリが、毎日打ち続けられていたので、林田は、顔に白粉を塗ったまま、コンクリート・ミキサーの練台の上に、真っ先に飛び上がって、まだ量る必要もないのに、白土の袋の口を解いて、それを舟の中に空けるのだった。
白土やセメントを量る役に廻れば、女よりも真っ白くなっても、不思議な事はないのだった。
「うまいところに嵌りやがったなあ」
と、その面白い思いつきを知ってる親方は、別な役に廻そうともしないで、林田に白土とセメントの量り方を委せておくのだった。
この遊戯は、約半ヶ月位は魅力があった。で、いつも扮装は同じだが、筋書きだけが、少しずつ更えられて、たとえば頬被りをとるところを、帯を解くとか、東京音頭の代りに、伊那音頭を吹くとかして、冬の夜のメリ込むような寒さと、無聊とを凌いでいった。
これは、この調子で行けば、小林の飯場は和気靄々として、若い衆の足も止まり、楽しみもあり、各々の若い衆が、故郷に残して来た苦い、肉親の境遇も、幾分ぼやけ得たであろう。が、そんな時代ではなかった。
つまり、お睦が若い女であり、朗であり、冗談好きである、というだけの間は良かった。