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Japanische Klassiker mit Furigana

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みんざんのいんし

岷山の隠士

国枝 史郎

Lesen Sie 岷山の隠士 (みんざんのいんし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.095 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで江夏岳陽に憩い、それから潯陽へ行き金陵へ行った。この頃李白は六十一歳であった。また宣城や歴陽へも行った。

あっちこっち歩き廻った。

到る所で借金をした。九割までは酒代であった。

のべつに客が集まって来た。

やがて宝応元年になった。

ある県令に招かれて、釆石江で舟遊びをした。

すばらしく派手やかな宮錦袍を着、明月に向かって酒気を吐いた。

波がピチャピチャと船縁を叩いた。

十一月の月が水に映った。

「ひとつ、あの月を捕えてやろう」

人の止めるのを振り払い、李白は水の中へ下りて行った。

水は随分冷たかった。

彼の考えはにわかに変わった。

どう変わったかは解らない。

李白は水中をズンズン歩いた。

やがて姿が見えなくなった。

それっきり人の世へ現われなかった。

「李白らしい死に方だ」

人々は愉快そうに手を拍った。

東巖子は岷山にいた。

相変わらず小鳥の糞にまみれ、相変らずぼんやりと暮らしていた。

ある日薄穢い老人が、東巖子を訪れて来た。

「先生しばらくでございます」

「誰だったかね、見忘れてしまった」

老人は黙って優しく笑った。

なるほどまさしく薄穢くはあったが、底に玲瓏たる品位があった。