Japanische Klassiker mit Furigana
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とうげ
峠
土田 耕平
Lesen Sie 峠 (とうげ) von 土田 耕平 (つちだこうへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.100 Zeichen · 7 Bildschirme
太郎さんは、お父さんの背にじっと首をもたれて、泣きたくなるのをこらえていました。お家を出る時に太郎さんは、背負われるのはいやだ、歩いてゆくと言って強情をはりましたが、お父さんがどうしてもおゆるしになりませんでした。太郎さんは、今そのことを思い出して、やっぱり背負っていただいてよかった、と思いました。
太郎さんは、毛布の中からのぞくようにして、片方の高い山を見ていました。山のすがたは、ただ真黒で、木やら岩やら見わけもつきませんでしたが、そのいただきのところが少しばかり明るく見えます。その明るみがだんだん増してきて、ポツンと金色の点があらわれました。点がだんだん伸びて角の形になりました。
「お月さまだ」と太郎さんは言いました。
「まあ、今ごろお月さまが出ましたわ。何という恐い色でしょう。」とお母さんが言いました。
「二十三夜さまかも知れないな。もうじきに夜あけだ。」とこれはお父さんの声。
そして、お父さんとお母さんは、何やかやことばを交わしました。千代子さんは、いつか泣きやんで、やっぱりお月さまを見ているのでした。
「のんの様のんの様。」
と千代子さんは、言いました。