Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
「とうげ」というじ
「峠」という字
中里 介山
Lesen Sie 「峠」という字 (「とうげ」というじ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.185 Zeichen · 3 Bildschirme
恐らく、これが漢字の本意であろう。して見ると、嶺字を以て「峠」に当てるのは妥当ならずということは無いが、「峠」という字には「嶺」という字にも西洋語のパスとかサミットとかいう文字にも全く見られない含蓄と情味がある。
和語の「たうげ」は「たむけ」だという説がある、人が旅して、越し方と行く末の中道に立って、そうして、越し方をなつかしみ、行く末を祈る為に、手向けをする、祈願をする、回向をする――といったような縹渺たる旅情である。
山があり上があり下があり、その中間に立つ地点を峠と呼ぶことに於て、さまざまの象徴が見出される、上通下達の聖賢の要路であり、上求菩提下化衆生の菩薩の地位であり、また天上と地獄との間の人間の立場でもある、人生は旅である、旅は無限である、行けども行けども涯りというものは無いのである、されば旅を旅するだけの人生は倦怠と疲労と困憊と結句行倒れの外何物もあるまいではないか、「峠」というものがあって、そこに回顧があり、低徊があり、希望があり、オアシスがあり、中心があり、要軸がある、人生の旅ははじめてその荒涼索莫から救われる。
「峠」は人生そのものの表徴である、従って人生そのものを通して過去世、未来世との中間の一つの道標である、上る人も、下る人もこの地点には立たなければならないのである。