Japanische Klassiker mit Furigana
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しまばらしんじゅう
島原心中
菊池 寛
Lesen Sie 島原心中 (しまばらしんじゅう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.293 Zeichen · 29 Bildschirme
警察医は、鶏の料理をでもするように、馴れ切った冷静な手付きで、肺や心臓や胃腸など一通り見た上で、女に肺尖カタルの痕跡があるといいました。
僕は、死体の解剖を見ているうちに、自分の気持が鉛のように重苦しくなって来るのを感じたのです。女の栄養不良の瘠せ果てた身体は、彼女の過去の苦惨な生活を、何よりも力強く、僕の胸に投げつけるのです。十年もの間、もがいた末に、なおこうした地獄の境目を脱すべき曙光を見出し得ない彼女が、自殺を計るということは、当然過ぎるほど、当然なことのように思われて来たのです。前借といえば、きっと三百円か五百円かの端金に違いない。そうした金のために、十年の間、心も身体も、めちゃくちゃに嘖まれた彼女が、他の手段では、脱し切れない境地を、死をもって脱しようとすることは、もっとも至極のことのように思われたのです。現代の売淫制度の罪悪は、売淫そのものにあるというよりも、こうした世界にまでも、資本主義の毒が漲っていて、売淫者自身の血や膏が、楼主といったものを、肥しているということです。貧乏な人たちの子女が、わずかな金のために、身を縛られて、楼主といったような連中の餌食になって骨まで舐られていることです。