Japanische Klassiker mit Furigana
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がけしたのいけ
崖下の池
豊島 与志雄
Lesen Sie 崖下の池 (がけしたのいけ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.109 Zeichen · 25 Bildschirme
水面はいつもより一層平静で、殆んど分らないほどに低下してゆきました。その水面が後には、次第に中央から凹んでくるようになりました。周囲の方は岸辺にねばりついて低くなるのを嫌がり、中央の方から先に低くなって、周囲の方を引きずり落してゆく、そういう様子です。その水面に時折、波紋が起って、何か動くもののある気配を示しました。その動くものが、やがては、否応なく姿を現わすに違いありません。何がいるか分りませんが、確かに何かいるのです。
恒吉は、幼いころ田舎でかいぼりをやったことなどを、思い出しました。川や小さな淵などを堰きとめ手桶で水を汲みほすのです。水が少くなると、盛んに波紋が立ちます。いろいろな魚があわて騒いでいるのです。水面から跳ね上るのもあります。水草や穴の中から音を立てて出てくるのもあります。水はますます少くなり、魚たちは泥の中に横たわったり跳ねたりします。思いがけない大きいのがいたり、つまらないものばかりだったりします……。
――信生を連れてくるんだった。
恒吉は突然、後悔に似た思いをしました。池のかいぼりをするなら、信生を呼んでやるのでした。信生はどんなに喜んだか知れません。