Japanische Klassiker mit Furigana
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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
Lesen Sie 崩れる鬼影 (くずれるおにかげ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.100 Zeichen · 69 Bildschirme
玄関には入口の扉の影だけが、月光に照らされて三角形の黒い隈をつくっています。
怪物はその扉の向うへ出てゆきました。出て行ったと思う間もなく、玄関の厚い硝子戸にモーニングの影がうつりました。
「おお、あれを見よ、あれを見よ」
警部さんは生きた心地もないような慄え声で叫びました。
おお、それは何という物凄い影でしょうか。硝子戸に月が落とした影は、モーニングだけの影ではなかったのでした。稍淡い影ではありましたが、モーニングの上に、確かに首らしいものが出ています。その頭がまた四斗樽のように大きいのです。
モーニングの袖からも手らしいものが出ていますが、それが不釣合にも野球のミットのような大きさです。
いやもっと駭くことがあります。
その大きい頭部が、見る見るうちに角が出たり、二つに分かれたり、そうかと思うとスーッと縮んで小さくなったり、その気味の悪さといったらありません。なんと形容して云ったらよいか。
ああ、そうだ。
「崩れる鬼影!」
影が崩れる、鬼の影――というのは、これなのです。私は背中に冷水を浴びたように、ゾーッとしてきました。血が爪先から膝頭の辺までスーッと引いたのが判りました。