Japanische Klassiker mit Furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Lesen Sie 嵐 (あらし) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.007 Zeichen · 108 Bildschirme
どうして、この節の太郎さんはもうそんなことはありません。」と、その校長さんの言ったことを思い出した。そう言えば、あの村の二三の家の軒先に刈り乾してあった笹の葉はまだ私の目にある。あれを刈りに行くものは、腰に火縄を提げ、それを蚊遣りの代わりとし、襲い来る無数の藪蚊と戦いながら、高い崖の上に生えているのを下から刈り取って来るという。あれは熊笹というやつか。見たばかりでも恐ろしげに、幅広で鋭くとがったあの笹の葉は忘れ難い。私はまた、水に乏しいあの山の上で、遠いわが家の先祖ののこした古い井戸の水が太郎の家に活き返っていたことを思い出した。新しい木の香のする風呂桶に身を浸した時の楽しさを思い出した。ほんとうに自分の子の家に帰ったような気のしたのも、そういう時であったことを思い出した。
しかし、こういう旅疲れも自然とぬけて行った。そして、そこから私が身を起こしたころには、過ぐる七年の間続きに続いて来たような寂しい嵐の跡を見直そうとする心を起こした。こんな心持ちは、あの太郎の家を見るまでは私に起こらなかったことだ。
留守宅には種々な用事が私を待っていた。その中でも、さしあたり次郎たちと相談しなければならない事が二つあった。